ギャングスタが斬る!

現役ギャングスタが時事問題その他を斬ります

ギャングスタが斬る!TOP


闇へのご案内~すすきの黒服、客引き体験録

 おれは18で函館の高校を卒業したあとは地元七飯を離れて札幌の音楽専門学校に進んだ。そこを2年で卒業したあと路頭に迷った。とりあえずは居酒屋でバイトを初めて糊口をしのぎ、その後いくつもの職を転々とした。その辺に関してはまた機を改めて書きたいと思うのでそちらに譲るとして、ともかくも何をやっても駄目で、長続きもせず、また糞みたいな待遇の仕事ばかりでは長く続ける意味も無く、このままではどう転がっても未来は闇であった。そこで転がり込んだ先が北日本最大の繁華街、すすきのであった。

続きを読む

闇へのご案内~すすきの黒服、客引き体験録8

 マリオネットは盛岡店もあったのだが、そちらは儲かっていたようだ。キャバ、本州で言うところのセクキャバ、とりわけ手マン可能のハード系が、進出当時は盛岡においては他になかったようで、競合相手がいないのである。オープン当初は行列がどこまでも並んでいて営業終了までに全員入りきれないような状況だったという。石井も一時期盛岡店の方にいたそうなのでそういった話をちょくちょく聞いた。東北なら仙台の方が人口も多いし良さげな気もするが、仙台にはすすきのトップクラスのキャバクラグループの「ニンジャグループ」が進出していたのでああなるほどと思った。

続きを読む

闇へのご案内~すすきの黒服、客引き体験録7

 当時のおれはあるJK系のファッションヘルスに通っていた。通うと言っても二回目である。一回目に行ったときは部屋が空いていないということで系列の熟女ヘルスの方へ案内され、嬢も熟女が出てくるのではないかと戦々恐々としていたが杞憂に終わり、ちゃんと若い子がついた。その子が無事オキニとなり、今回は指名をしての再訪というわけである。嵐のような激務の間を縫う、週に一度の貴重な休日。そして流行らない底辺キャバクラの下っ端黒服の薄給。そこから出す金は地球よりも重く感じられた。嬢はいわゆる早番、昼間の勤務だったので早起きして店に行った。そして今回も部屋が空いていないということで再び熟女ヘルスの方へ通された。

 この業界でご指名客といえばなによりも優先すべきVIPである。嬢はおれを個室に迎え入れるとストップウォッチを逆さにしてベッドに置き、どこかへ行った。その隙にストップウォッチを見てみると、50分コースで入ったはずなのに残り時間は35分を切っていた。今入ったばかりにもかかわらずである。いわゆる「早上げ」というやつだ。嬢が戻ってきてからそのことを問うと、
「なんかこのストップウォッチ調子悪いんだよね」などと言いながらストップウォッチを振って見せるのである。不正をしたストップウォッチを客の元に残してどこかへ行くあたりからしても頭は良くないようである。
 ことが終わったあとで嬢は何故か携帯で彼氏の画像を延々と見せてきた。なるほど彼氏には別の仕事をしていることにしているから昼間の勤務なのだろうかと思った。しかしながら何故彼氏の画像を見せてくるなどという行為に及んだのかはなはだ理解に苦しんでいると、今度はおれの携帯電話がブルッと震えだした。画面にはマリオネットマネージャーのランクルマンの文字。さすがにここで電話に出るわけにもいかずこのときは電話に出ず、。
「うわ……店の奴からだ」と言った。自分がキャバクラの黒服であることは嬢には言っていた。嬢は休みの日にかかってくるとか嫌だよねーなどと同情して見せたが、すべては早上げの件のせいで空しいばかりであった。
 店を出てからランクルマンにかけ直すと、
『ヘルス行ってたの?』と言われた。おれがこの店のこの嬢を次の休日に指名してやることは黒服たちの前で宣言していたのである。なおマリオネットは月曜定休だったり定休日を設けずシフト制で順番に休日をとったりと迷走していたが、このときは後者であった。
 用件はと言うと、例の元従業員Fをつかまえたから、狸部長を迎えに千歳空港まで行って欲しいというものであった。マリオネットは仙台にも支店があり、このとき狸はそっちに行っていたのである。
 前回記事の最後で触れた、会社の金何百万円かを持って逃げたというあの元従業員である。それは会社からしたら大事(おおごと)であろうが、何故おれが狸を迎えに千歳まで行かなければいけないのか。それも休日に。そんな常識など通じるわけもない業界である。断ることなど出来るわけもなく、おれは国道36号線をひた走った。今調べてみると札幌から千歳空港までは一般道なら1時間20分だそうだ。意外と近いようだが、もっと時間がかかった記憶があるのはそのような事情による精神的な陰鬱さのせいだろうか。
 千歳空港ロビーで待っていると、やがて狸部長の姿が見えてきた。茶髪にサングラス、ヤクザスーツで手にはジュラルミンケースという出で立ちは明らかに周囲から浮いていた。狸を乗せ札幌へ戻る。狸は後部座席に座った。
「なんで後ろに乗るのって思ったっしょ? なんか好きなんだよね、後ろの席が」などとどうでもいいことを言っていた。意外と冷静な感じである。
 おれはというと、そんな事情の元で部長を乗せているものだからプレッシャーとストレスで針のむしろの上に座っているような心持ちであった。狸は安全運転でいいからなどと言っていたがおれは一刻も早くこの状況から解放されたかったので割とスピードを出していた。
 札幌の清田区に入った頃にはすでに日は沈んでいた。そこで狸の携帯に通話が入り、現在位置やあとどれくらいで着くかなどを知らせていたが、運転免許を持っていない狸は青看板の見方を間違えていたので実際よりも短い時間を言っていた。これがさらにおれにプレッシャーを与えた。
 やがて札幌の中心部に入り、お馴染みのすすきののまばゆいネオンが揺らめいてきた。札幌の、街のグラデーションとでも言うべき情景の変化がおれは好きだった。こんなファッキンドライブでなければさぞ楽しかったであろう。そこからさらに南へ行くように指示され、すすきのを外れて夜の業界人やヤクザが多く住むアパートマンションが建ち並ぶ一帯へ来た。そのうちのひとつのアパート玄関前に、ランクルマンに腕をつかまれている元従業員Fと思しき男がいた。髪の毛はボサボサに伸びており、無精髭は隣のランクルマンの盆栽のように手入れされたヒゲとは対を為していた。如何にも逃亡の果てといった雰囲気で、観念した表情は無の境地に達しているようにも見えた。これからなにをされるかわからない状況である。なにも考えない方が幸せなのだろう。ランクルマンがそいつをおれの車の後部座席に押し込むようにして乗り入れさせ、ランクルマンと狸で両サイドを固め、車を発進するよう言ってきた。それから少しばかり走ってまた別のマンションに横付けさせられた。三人はここで降り、おれはようやく自由の身となった。サイドミラーやバックミラーに映る、二人に連れられてマンションに入っていくFの姿が見えた。
 その後Fがどうなったのかは知らないし知りたくもない。もちろんヤクザがらみの話になるのだろうがそんなことはどうでも良く、おれはこのマザファッキンな休日をひたすら嘆くばかりであった。
 ちなみにその後、そのご指名風俗店には二度と行かなかった。

 

続き



 

 


車執筆への道

暑くて執筆どころじゃねえ!!

そんな作家さんの声が聞こえてきそうな今日この頃でございます。

特にこちら北海道は民家にエアコンというものが普及していないので本州のように甘ったれた涼しい夏など過ごすことがかないません。エアコンのある涼しい本州がうらやましいです…。

続きを読む